技術開発について

「Aめっき」
「Aめっきスーパー」の
技術開発に至った経緯

「Aめっき」とは :
鉛・カドミの含有量を極限まで抑えた環境に優しいめっき

2006年EUでは、特定有害物質の使用制限に関する法律であるRoHS指令(ローズ指令)が施行され、規制値以上の鉛・カドミニウム等を含む電気・電子機器製品の販売が禁止されました。

日本における一般の溶融亜鉛めっきは、皮膜に亜鉛のほか鉛やカドミニウムが多く含まれています。これは原材料に低純度の蒸留亜鉛や再生亜鉛を使っているためです。また、めっき釜の保護のため別途、鉛を添加したりしています。

高純度の電気亜鉛によるめっきは流動性が劣り極めて作業性が悪く、特にネジめっきは技術的にも難しくそれらの開発はほとんどされずにきました。
弊社では平成20年にRoHS指令に対応した環境に優しい「Aめっき」の研究開発に着手しました。環境問題は今世紀最大のテーマであり我々の研究成果を通して社会に貢献するのがその目的でした。

研究開発においては社内に8名からなる開発チームを結成し、トップ自ら陣頭指揮を取り連日遅くまで開発に没頭しました。夜中12時近くまでテストを繰り返すこともありました。
当初は安易に考えていたのですが、実際には簡単に良い結果が出ませんでした。今から思えば大胆だったなと思います。

自分たちを追い込んで後戻りできないようにしていましたし、兎に角前しか向いていませんでした。
度重なる失敗の中で、あるひらめきから製法を変更し新たなテストを試みました。幸運にもそれが良い結果をもたらしその後完成に至りました。
2年近くかかりましたが、みんな良く頑張ってくれたと思います。

平成22年2月からローズ指令をクリアーした環境にやさしい「Aめっき」がスタートしました。同年4月に特許登録されました。

「Aめっき」とは、あえんのA。
熱い(溶融亜鉛に浸漬し、密着性が良い)のA。
低鉛・カドミでローズ指令をクリアした安心・安全のA。
大阪生まれのええめっき。

などからネーミングし商標登録しました。

「Aめっきスーパー」とは :
耐食性に優れた亜鉛・アルミ・マグネシウム合金めっき

将来に向けた新たなめっき技術の開発構想を抱いていました。
次世代のめっきとして耐食性に優れた亜鉛アルミ合金めっきがあり、道路・鉄道及び電力等の分野で今後ニーズが高まると思われます。旧日本道路公団と鍍金協会との15年間の共同暴露試験において、厳しい腐食環境下での優れた耐食性が示されました。
しかし現在の二浴方式では製法が複雑で既存のめっき設備では不可能でした。

かねてより既存の設備を利用して一浴式の合金めっき方法を考えていました。小物めっきは500℃位の溶融亜鉛に浸漬しめっき被膜を形成させその後冷却します。冷却前に他金属の粉末を付着させれば合金化できるのではないかと考えました。このひらめきから研究開発をスタートさせました。

研究のために金属顕微鏡から、後には蛍光X-ray分析装置まで購入しました。後者は一千万円近くしますが、研究のために購入しました。

膨大なテストを繰り返し2年程かかりましたが、平成28年2月に亜鉛アルミニウム合金めっきの製法特許を取得しました。しかしバラツキが多く満足できる品質には達しませんでした。設備もつぎつぎと製作してはスクラップの連続でした。

その後1年以上が過ぎましたが、依然改善されずに新たな方法を模索していました。関連分野にご相談にも伺いそんな中ご縁があり大学側と共同研究することになりました。平成29年8月大阪府立大学と府大工業高等専門学校とでアドバイザー契約を結び再度研究開発を加速させました。
毎月先生方と技術ミーティングをもち製法も大幅に改良させました。また懸案であったマグネシュウムも合金化することに成功しました。平成30年に新たな特許を申請しました。

2018年6月に溶融亜鉛鍍金の国際会議であるIntergalva 2018 Berlin で、研究発表を行い高い評価を頂きました。

今回多大なるご指導をいただいた大阪府立大学大学院工学研究科の齋藤教授と府大工業高等専門学校の平林准教授には心より感謝しております。

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